ARCFOX × UCCA Lab 没入型運転体験キャンプテント空間リフォームデザイン
プロジェクトの背景 PILLSは、UCCA Labの委託を受け、近日にARCFOX仮設ショールームのリノベーションデザインを完成しました。この仮設ショールームは、ブランド側が設営した没入型運転体験キャンプの車両展示エリアです。ARCFOXとUCCA Labによるコラボプロジェクト「Boundless Art Space」として、この仮設ショールームはブランドプロモーションと共に7都市を巡回し、それぞれの都市で組立てリサイクル利用しています。PILLSは、合計2週間のデザイン・組立期間内に、ブランド側がすでに購入したテントに対し、リノベーションデザインを実施し、さまざまな設計上の制約と可能性を総合的に考慮し、今回のデザイン依頼に効率的に対応しました。 今回のデザイン案件では我々がいくつかのチャレンジに立ち向かいました。一つ目は、設計期間が1週間以内という非常に短い期間です。2つ目は、ブランド側が購入したテントは到着していないため測定または実地検証ができないことです。3つ目は、組立時間が極めて短いです。そのため加工や組立についてはシンプルでやりやすさが求められます。4つ目は、テントの吊り下がる耐荷が限られているため、展示構造は軽量かつ丈夫さが求められます。5つ目は、この仮設ショールームは7都市で繰り返して組立てリサイクル利用するため、展示で使われる素材は運びやすく、何度でも分解・組立が可能であることが求められます。6つ目は、予算が限られているため、材料の安さが必要です。 設計概念 そしてARCFOXが今回のブランドプロモーションにおけるイメージポジショニングと、上記要因を併せて考慮し、既存のテントにネガティブ形状の「極地雪山」を組み立てることにしました。ネガティブ形状の雪山「谷と尾根」の形については何度も検討を重ねた結果、テントと雪山の間に設置するネガティブ形状空間の環状を構造線に沿ってカットし、そして構造線に沿って配置するネストされた平面が得られます。これらの「平面」を用いて 「立体」を表現します。7層もある環状断面が併せてホローの山体空間を形成し、その空間の中にARCFOX自動車が展示されています。 せっけいかいはつ このように設置形式が決まった後、超短時間内に行う設置における出てくる可能性のある問題点、および材料選定も同様に設計においての考慮する大事なポイントとなります。7 層の装飾面の展開図は、加工・修正しやすく、吊り下げ設置も簡単です。装飾面の設計は、構造のトラスバーモジュールに適合しており、ポジショニングが簡単です。使用する材料に関しては、私たちは、穴あき金属メッシュ、布、アクリルなどさまざまな材料を総合的にテスト・評価し、メインの材料としてデュポン™タイベック®シートを使用することにしました。この不織布は揉んだ後に雪山の凹凸に見えるような凹凸のある質感が出ます。またその凹凸になるヒダの安定性が高く、かつ軽量で安価、引裂き強度が優れている、短時間内での加工、輸送、設置が容易です。揉んだ後のシートのフォールトトレランスが優れているため、短時間内でのスピード加工および取り付けにおいて生じる誤差も、視覚的に弱めることができます。 タイベックシートはこのプロジェクトに適している利点がたくさんありながらも、いくつかの問題点が存在しています。例えば、揉んだ後にシートが変形しサイズが変わったり、また紙が軽すぎるため、造形する際に形崩れや折り目がかたすぎるなどの問題があります。それに対応するために、私たちは繋ぎ部分の設計では、それぞれの平面に対応する構造の曲がる部分に、シートが2層を使用し、内側にスチールパイプを入れてシートを縫い合わせることによって、スチールパイル自身の重みを利用して、コーナーの部分が垂直になります。そうすることによって、それぞれのレイヤーが、全体的に造形の形を確保できると同時に、繊細なテクスチャーの質感も出せます。 また、地面にはネガティブ形状に切り取られた「極地雪山」の鏡像を映し出すことで、観客はその空間に没入して体験できます。車両展示台と受付デスクのデザインも同じくスノーにかかわる要素を取り入れました。 ライトスタディ 照明プランはうまくセットの素材と形と合わせて見せるかもプロジェクトの成敗にかかる大事な一環です。私たちは研究用模型とコンピューターシミュレーションを通じて、人の感覚において最適な照明プランと照度を見つけ出しました。このプランで、「山頂」にあるトップライトには発光ライトボックスを使用し、一番照度の高いメイン光源にしました。吊り下げバーの内側にテープタイトおよびカバーを取付け、照らされた表面に光のハロー現象を生み出して、幻のような雰囲気を醸し出しました。 プロジェクト概要 上記をまとめると、今回の設計案件は小規模・低予算の仮設建物改修案件ですが、設計においては直面する極限なチャレンジは従来の設計案件に引けがとらないほど難しかったです。限られた工期内に、デザインの思考と戦略を生かし、さまざまな制約や予期せぬ要因に対応し、設計自体と実施の可能性の間に最適な合致点を見つけて、ARCFOX自動車が掲げるブランド理念と、UCCA Labが続いてきた多元文化芸術実践の探索を、最大限に実現できるように提案しました。
プロジェクト情報 プロジェクト種類:展示ディスプレイ・デザイン クライアント:UCCA Lab ブランド:ARCFOX 会期:2021年07月09日~10月3日 展示会場:北京、上海、 デザイン機関:PILLS チーフデザイナー:王子耕 営業担当:呉奕萱(UCCA Lab) プロジェクトマネージャー:呉顔如(UCCA Lab) 設計担当:張暁環、汪曼穎、趙思涵、王玉竹、陸洋 インテリアデザインコンサルタント:徐迅君 ライティングコンサルタント:龐磊 施工会社:北京神域之光文化伝播有限公司 設計期間:2021年7月