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インテリア
MotivMfg
旧建築改造

MotivMfgブランドショップ店舗

MotivMfgブランドショップは、798アートエリアに位置するシンボル的な半円型ヴォールト屋根の工場跡にオープンする予定です。ブランド創設以来、「Tradition for the Future(伝統を未来へ)」というデザインコンセプトを掲げ、さまざまな文化の衣装制作工芸について研究・改良を重ね、時代の制約を超え、大規模生産ラインの制限から脱し、伝統に基づき未来に向ける服を創り続けています。 2022年、PILLSは依頼を受けMotivMfgブランドショップを設計しました。以前はD-Galleryとして知られていたこの建物は、かつてMotivMfgのデザイン・制作スタジオだった場所で、ブランドの成長を見守ってきた大事な場所でもありました。ブランドショップの予定地は1950年代に外国援助のもとに建てられた三階建ての建物です。建物の天井が高く、大きな天窓から光がたっぷり入れる、白いレンガとコンクリートの複合構造、屋根が半円型ヴォールトになっています。時間の推移とともに、金属やコンクリートなどの素材は自然に錆び、剥がれてきています。一方、MotivMfgのブランド創設者は、ブランドのさらなる発展の観点からここからスタジオを移転させ、ここをブランドショップに改造し、実店舗の影響力をさらに拡大させ、そしてブランドショップをアパレル、書籍、新品発表などの機能を統合した総合文化空間を作ることを計画しています。一方、旧工場跡であるこの建物は、雨漏り、夏の猛暑、冬の酷寒などの問題が長年続いており、唯一の階段も狭く、複数の動線機能を同時に担っていたため、新たに空間の計画と設計が必要となっていました。 部屋の中の部屋 全体設計案は「部屋の中の部屋」というコンセプトを掲げ、元のレンガ造りの壁と屋根を残しながら、二つの空間コンポーネントを導入することで空間全体の機能や動線を再編成しました。裏のサービスエリアとメインのショッピング動線を分けるため、設計案は一面の新たな壁を設け、既存の壁と連結させ、ベルト状のサービスエリアを区切りました。内と外の関係は、一連の折りたたみ式ドアによって再定義され、ショーウィンドウ、フィッティングルーム、スタッフ通路、倉庫などの機能空間は厚みのある壁の中に埋め込むことで、コンパクトかつ目立たない隠れ空間になりました。そして、もう一つ導入した空間コンポーネントは黒い多面体のインスピレーションです。そこに階段、レジ、陳列、倉庫など複数の機能が統合されています。シンプルながらもパワーフルな黒い物体はバウハウス風の工場に自然と溶け込むと同時に、空間全体を南北2つのゾーンに分割します。幾何学的な分割により、この多面体の両側にそれぞれ出来た2つの通路が、一つは1階にある2つのゾーンをつながり、もう一つの通路は顧客を2階と3階へと導きます。 北ゾーンの吹き抜け空間はインスタレーションの存在により、空へ向かう縦方向が遠くまで延びていくように見え、この空間は服の陳列、アクセサリー、ウィンドウディスプレイなどに利用されます。黒いインスタレーションはさまざまな機能エリアを区切っただけではなく、その巨大のミステリアスな外観が空間にユニークな視角体験をもたらしました。元々あった白いレンガ壁と呼応させるため、設計案ではクリームホワイトの天然石風板材でディスプレイ壁を制作し、一連の壁龕型展示台および照明を用いて、ディスプレイ壁に奥深さを造り、衣装ディスプレイをより立体的な視覚体験にしました。ディスプレイ用の小道具は古い療養院または病院の備品を流用し、この空間に癒しの意味合いを添えました。南ゾーンの空間スケールはより親しみやすくなっており、ここは靴の陳列、レジ、試着などの用途に使われます。壁と天井にはティール色の四角形タイルを敷いており、19世紀後半から20世紀初頭にかけリハビリテーションの台頭とともに療養所が林立する歴史の浪にオマージュします。使用されなくなった手術台や照明器具が展示用の小道具となり、商業空間に新たな解釈をもたらします。 階段に導かれ上がってきた2階は、服、靴、書籍などの商品が展示される複合陳列エリアになります。インスタレーションの頂部に折り畳み式の階段が隠されており、広げると大きく長い窓を面したラウンジ・エリアに変身できるスキップフロアになっています。お客さんは階段を拾ってここに上がり、ひと息つけます。インスタレーションの存在は、空間全体の縦方向の奥行を豊にし、独特な体験を提供できるとともに空間をより効率よく利用できます。3階は本屋になっており、造り付けの本棚は建物本来の半円型ヴォールト屋根の壁面に活気を付け、また療養所テーマのディスプレイ小物と相まって、より親しみやすく快適な環境を作り出しています。建物本来の北側の窓から入る自然光を最大限に活かしたデザインは空間全体が明るくしています。 ブランドショップの入口は半屋外のトンネルにあり、ファサードが岩石で作られた分厚い壁になっています。岩壁は彫られたり、削られたり、黒色のスチール製ウィンドウと入口が現れ、主張しすぎないながらもミステリアスな第一印象を与えています。ショーウィンドウの形も室内に入ると出会う黒色のインスタレーションを示唆し、この空間のナラティブの一貫性を増幅しました。 まとめ 本設計案はインスタレーションと壁の介在を通じ、動線、展示空間、裏のロジエリアなどを総合的に再構成し、複合機能のニーズに効果的に応えました。また、設計案は療養所、教会、採石場などの要素を取り組んで融合させることで、馴染みないとあるの間、そしてレトロとフューチャーの間を行き来するショッピング体験を創り出し、ブランドが掲げるコンセプトである「Tradition for the Future(伝統を未来へ)」に適切な空間表現を見出し、シンプルで明るく、希望と秩序が同時に感じさせる総合的な文化空間に仕上げました。

プロジェクト情報 プロジェクト種類:インテリアデザイン、旧建築改造 プロジェクト場所:北京798芸術区 クライアント:MotivMfg  デザイン機関:PILLS プリンシパルデザイナー:王子耕 設計担当リスト:沐璨琦、張暁環、鄧玥珠、田宇馨、宮羽、劉正華、牛氷潔、馬楽馳  総建築面積:195平方メートル

© Pills Architects, inc.

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